猫バス北海道漫遊 四日目 洞爺湖〜稚内


大和旅館の朝。
相部屋の御仁は まだ爆睡している。

よく見たら ジャージの上下で北海道に来たのね。
どうやらいっちょうららしい。

若いって素晴らしい。。。
寝巻き兼用??
若いってホントに素晴らしい。

えぇーと・・・・
仕度して出よ。

朝ごはんは 牛乳1パック。

エネルギー足りないなぁ。


 今日は快晴。
どこまでも伸びてゆく 乾いた路面(ここ強調!!)

アクセルを捻ると 猫バスは どかっと乾いた音をたてて 背中を叩くように身震いしながら加速してゆく。
続いてすぐにバヒューンという音とともに グイグイ「私」が飛んでゆく。

トルクの固まりとなった猫科の獣は 一散に駆け出す。

のけぞりそうになりながら脇を締め 膝でタンクを挟み込み股に力を入れて 振り落とされまいと構える。

ステップに乗せた足はつま先立ちになり 親指に力が入る。

真後ろに 脳と後髪とヘルメットが 一緒になって引っ張られる。

風が痛い 鼻水と意識が後に飛んでいく。

うあああ・・・

アクセルを緩めて リアブレーキを中心にしっかりと踏み 速度を「殺す」
 今度は体が前のめりにハンドルの方へ滑ってゆく。

両の腕を力いっぱいにしてつっぱり 前に投げ出されないように踏ん張る。

はあはあ・・・・



・・・・・・・準備運動 おわり





今日は「北」へ
札幌に向かうメインロード 中山峠

名物は揚げジャガ。

しかしでかいよ。

朝食にしては おもくて熱い

とりあえず名物ということで いっときましょう!

栄養偏るなぁ

札幌市内。

昼間の都会に興味はない とばかりに先を急ぐ。


快晴ー。

お盆とあって 一年で一番暑い期間だ。
北国の都会はエアコン設置率が低くて 冷房機のないところが多い。

お盆期間 札幌と旭川では宿泊したくない。

道の駅みかさ
野菜の露店販売のなかから 今夜のおかず ミニトマトを1パック買う。

旅にでると 野菜を摂らなければ・・・と強迫観念にも似た危機感を感じる。

晩御飯に先立って 一個つまみ食いをすると 甘くて酸っぱいジュースがほとばしり出てきた。。

小さいトマトほど味が濃いのだ。

絵に描いたような快晴!
北海道には何年も来ているが こんな日は滅多にない。

海沿いを走りたいところだが 何年ものあいだ逃している宿題があるので 内陸を走ることにした。


ミラーに写った青空が一番青いのはご愛嬌だ(笑)

今日は一日中 お天気だよ きっと!


北海道幌加内町は 道北の入口にあり 道北の大河天塩川の源流 雨竜川の源にある 蕎麦の産地だ。
国内産玄蕎麦の産地としては 日本一の生産量をを誇る。

町内には 蕎麦屋さんが何軒かあって 腕を競っている。

その中でも ツーリングマップルに出ている 霧立亭に寄ってみた。 
注文の時 おねえさんが 「大盛りですよね!」と聞くので 「えっ? えっ? ハ ハイ!」と答えてしまった。

 このあともう一軒 行くところがあるので 並盛りにするつもりだったのだが おねえさんの迫力に負けてしまった。

この町では大盛りが当たり前なのかしらん??

蕎麦の方は おねえさんが自信満々で出してくれたとおり コシがしっかりしていて 香りがよく 私好みの蕎麦だった。

例えていうなら 山形蕎麦みたいな ばつばつに硬いコシのある 個性の強い蕎麦だった。
好みが分かれるタイプだが 私は大好きな蕎麦だ。

つゆは江戸前式の 比較的辛いものだが 個性の強い蕎麦に力負けしていない。

こういう時は 食べ方でしょっぱさを調整する。
つまんだ蕎麦には 半分だけつゆをつければいいのだ。

葱も山葵も控えめの どっしりとした蕎麦だった。
ごちそーさん!


幌加内から美深の町へおりる。

目的は 道の駅の裏 キャンプ場横の日帰り温泉施設 びふか温泉に付帯したレストランで チョウザメ料理を食べること。

これが何年も果たせなかった宿題。

この日は チョウザメ丼をオーダーした。

蕎麦を食べたあとだったので ちょっと苦しく ややクセもあって(川の匂いのせいか?)期待したものではなかった。

洋食のほうが向いているのかもしれない。
(それなりに美味しかったのだが)

腹いっぱいで動くのも嫌だったが 涼しい場所に行きたくて 北へ進むことにした。

今度こそ 海沿いの道路に行くべく進路をとると、トンネル手前で 突然のにわか雨。

次のトンネルまで走り バイクを寄せて 防水ジャケットを着る。

ああ やっぱり雨から逃げ出せないか。

自分のことより 荷物が心配だったので 防水カバーを入念に掛け 点検する。

次のトンネルを出ると もっと凄まじい雨が待っていた。

集中豪雨とも呼べるくらいの土砂降りと 真っ直ぐ落ちる閃光。ゴロゴロと空が鳴って はっきりと分る稲妻。

危険を感じて避難場所を捜す。


ようやく見つけた道の駅中川に避難する。

ここでは 大勢のバイクが駐車場に置き去りになっていた。

雨足はいっこうに衰えず 多くのバイクは濡れたまま
私はといえば 上手い具合に張り出した屋根のひさしの場所があったので その下に避難させてもらった。

勿論 係りの人に 避難させてもらうお願いをして お許しをもらったのはいうまでもない。

自分だけ濡れないところにいて 晴れ間を待っていて バイクだけ雨打たしにするなんてとてもできない。

隣に避難した人と2台 顔を合わせてニッコリした。

雨宿りは30分ほど。

小降りになったので 道の駅を出て走り出すと 5分もすると中川の町に入った。
ここの路面は 驚いたことに全く濡れていない。

どうやら私のいた 半径2〜3kmの範囲だけ 雨が降っていたらしい。
雷が鳴り 前が見えないほどの本降りだったのに 周りの場所は晴れていたなんて・・・・

そろそろ最強の雨男になったか。
結局海沿いのオロロンラインは走らず 出来たての 無料の自動車専用道路を走り 稚内の町に着いた。
雨雲はもう追ってこず 安いガソリンを求めて セルフスタンドに入る。

驚いたことに 私の地元と全く同じ方式 同じ機械の(しかも機械のアナウンスのおねえさんの声まで一緒)セルフスタンドだった。

ここの機械は 小銭を受け付けてくれて つり銭の支払いもその場で出てくる。

モダとは変わった名前だが 覚えやすくてよい。

店員のススメで 給油カードを作ることにしたが このご北海道では二度と寄ることがなく ちょっと悪かったかなぁ といま帰ってから思う。

港のどん詰まり いつもの防波堤ドームまで来てしまった。

非公認の場所だが 相変わらずキャンプをしている人が多い。

手前のファットボーイが この時仲よくなった「たぬ」さんの愛車。

相変わらずドームは美しく楽しい。

この人はこのドームの「主」的存在のおじさんで
通称ドームおじさん(画像は本人の許可をもらって います)
夏の初めから 秋の終わりの11月まで ここにいらっしゃるのだという。

ここにいるおかげで 新聞に載ったよと その記事を切り抜いて 大事に持っておられた。

北海道各地の無料キャンプ場には(ここはキャンプ場ではありませんが)最近 壮年や老年のこういう人をよく見かける。

昔もキャンプ場に居つく人がいて そういう人は「ヌシ」と呼ばれていたが、あの頃の人は みんな若い人だったのだが 最近では若者は見られない。

若いライダー自体が少なくなっている現状で 当然の帰結なのだろう。

昔キャンプ場にいたヌシは 煙たがられる場合が多かったが お年寄りの場合は そこまで言われることはないという。



今日の酒の相手は ファットボーイのたぬさん。
自称「国防ライダー」

システマティックな野営道具は きれいに収納されて 道具にもこだわりがあって 見ていて楽しい。

お仕事でも本格的な野営をされる たぬさんのお話をお聞きしていると 私のようなやわな 「野営ごっこ」マニアではなく 実用本位の野営をされる凄みが見てとれた。

この際 災害時の野営も習っておきたいなと この夜考えながらご一緒させてもらった。

たぬさんのストーブ(コンロ)は 白ガス 灯油 無鉛ガソリン ガス カセットコンロが使える 万能バーナーで とろ火も使えてかなり高性能だ。

コッヘル代わりの鋳物の南部鉄鍋も駆使して 達人キャンプが始まる。
よく見たらミニミニダッチオーブンのようだ。

私のストーブ(コンロ)は カセットコンロ対応の 国籍不明のあやしい非公認ストーブ。

画像のものは初おろしだが 同じタイプのものはもう十年以上使っている。

これはこれで 永年のスタイルに即した私の宝物だが たぬさんの使っておられる「武器」が欲しくなった。

こちらで売っているところを教わり 数日中に見に行くこととなった。
食後ブラブラと港の公園を散策し 夏祭りの後の盆踊りの櫓に遭遇した。

踊りは終ったらしく 人もまばらだったが 夜店で 焼きソバを買い たぬさんと二人 ビールで宴会。。
北国の夏は短い。
人々は急いで夏を追いかけて 捕まえようとして するりと逃してしまう。

観光客は地元の人が用意してくれた 表の顔の観光地を眺め味わうけれど 旅人は地元の人の生活を見 感じて嗅いで味わって 風になってすり抜けてゆく。

我々は北海道の人にとっては 夏の訪れを知らせる風物詩になっているという。

私もせいぜい北海道を味わう為 観光地以外の人々の生活を眺めて行きたいと思う。

盆が過ぎれば 夏よりもっと短い秋
そして長い長い冬がやってくる。

お帰りはあちら・・・・・
一夜のねぐらは朝まで涼しかった。

 もう秋か。

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